彼に会うまでの21時間
 クリスマスイブということもあってか、いつもより人通りは少ない。

 外を歩いている人は、みんな急ぎ足。

「あの、すみません。駅に行くには、どの道を行けば、いちばん近いですか?」
 まだ仕事をしているのだろうか。スーツ姿の男性が慌てた様子で私に道を尋ねてきた。

 私は身振り手振りを交えて、駅までの道順を教えてあげた。

「どうもありがとうございました」

「いえいえ、どう致しまして」

 スーツ姿の男性は、駅に向かって走り出した。

 現在の時刻は、八時五分。まだ二十五分もある。急がなくても余裕で間に合う。
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