彼に会うまでの21時間
「お姉さんは、どこから来たんだい」

「神奈川県です」

「そんな遠くから来たのかい」

 年配の男性の話によると、新郷村は青森県。

 本当についてないとしか言いようがない。

「お金は持ってるかい」

「はい。三千円あります」

「三千円か。飛行機代を貸してあげるから、うちに来なさい」

「はい。どうもありがとうございます」

 窓から外を見つめながら、親切なおじさんの家に向かった。

 のらりくらりと山道を走り、おじさんの家に着いた。

「お風呂に入るかい」

「あ、はい。入らせていただきます」

「おーい! 美智子! お風呂を沸かしてくれ! あと何か作ってくれ!」

 親切なおじさんのご好意を受けて、お風呂に入らせてもらった。

 おじさんの奥様が作ってくれた、きつねうどんを食べた。

 現在の時刻は、一時四十五分。
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