豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「比奈」

玲が小さく私の名前を言った。
特に驚くでもなく、怒るでもなく、淡々と、紙に書いてある名前を読むように。

その一言で玲の隣を歩く女性は、私が玲の知り合いであるということを認識したみたいだ。軽く会釈をした。
背が高くて、スタイルの良い、とってもおしゃれな服を着た美人。
まるでモデルさんのようだった。
隣を歩く玲と、びっくりするほど釣り合いが取れている。


「あの、玲……」

「なんだ」

「その人は……?」

私の問いかけに、女性が口を開こうとした。
が、それを制するかのように、玲が女性の一歩前へ進み出る。

「関係ないだろ」

びっくりするほど冷たい声で。
玲はそう答えて、彼女を連れてマンションの入り口へと入って行ってしまった。

呆然として、これ以上言葉が出て来なかった。


あれは、誰?

――関係ないだろ――

関係ない? そっか。そうだよね。

あれ、でもさ、私たちさ。
一応、付き合っているんじゃなかったっけ?

女の人を家の中に連れ込んで、彼女に向かって関係ないだろって。
おかしいよね??

あ、でも、私も玲に内緒で男の人と会ってたんだから、おあいこか。


「……水城ちゃん」

木嶋さんの、私を呼ぶ声がする。
けれど、今しがた玲と女性が通り過ぎて行った動線しか視界に入らない。
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