豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「それで、何故泣いた」

ちょっと涙が落ち着いてきた私を前に座らせて、玲が冷静に問い正す。
不満を押し殺してるみたいな玲と、ふてくされている私が、険悪に対峙する。

「……なんでもない」
「話を聞いてやるって言ってるんだ」
「聞いてくれなくていい」
「いいから言え」
「うるさいなぁ、あんたには分かんないよ」
「お前こそ、俺の気持ちなんか分からないだろう」

我慢の限界を超えた玲が、ものっすごく不愉快そうに吐き捨てた。
え? 何? 怒ってる?

びっくりしてちょこんとする私を前にして、玲が悔しそうに顔を伏せた。
苦虫を噛み潰したような顔で、ぼそりと呟く。


「お前には分からないだろう。付き合って一週間で浮気された男の惨めな気持ちが」


え……


頭が、真っ白になった。


「それって、私が浮気したって言ってます?」

「他に何があるっていうんだ」

「……ええと」

なんだか、激しい誤解がある気がする。


情けなくポカンと口を開いた私を、玲は心底憎らしいといった風に、ぎりっと歯を食い縛って睨んだ。

「お前が! 俺に嘘を付いて、男と会いに行ったんだろう!」

突然、玲が立ち上がった。私の右手首を乱暴に掴み上げる。

「痛っ」

手首の神経がキンと痛む。
いくら怒ってるからって、力に訴えかけてくることなくない!? 暴力反対!

ってクレームを言わせてもらえる余地もなく、無理矢理私を引きずった玲は、私の身体をベッドの上へ投げ飛ばしたあと、自らもベッドへと足かけた。
< 38 / 59 >

この作品をシェア

pagetop