豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「玲……?」
「比奈」

玲が私の隣に座った。重みでベッドがぎしっと軋む。
でも、目線は合わせてくれない。
私と向き合うのが気まずいってオーラをひしひしと感じる。

玲が、おずおずと言った。

「どこか、痛めてないか?」
「は?」
「さっき、少し、乱暴にした。怪我はしていないか」

ああ。そういえば、掴み上げられたり、ベッドに突き飛ばされたり、乗っかられたり、いろいろしたなぁ。

「大丈夫だよ。肉の防御壁があるし」
「馬鹿」

玲の手が私の頭の上に乗った。そっと。優しく。

「真面目に、言ってるんだ」
「玲……」

ちょっと照れくさかった。
玲は毒舌で分かりにくいけれど、本当はとってもとっても心配症で。
馬鹿って言ってすぐ怒るのは、頼りない私への心配の裏返しで。
それくらい、知ってたよ、玲。

でも、あれはなかったことにするって約束したじゃん。
いつまでも心配してくれなくていいよ。もう、私のお守りは必要ないよ。
私だって、いつまでも甘えてらんないし。自立しなきゃ。
だって、玲には、美人でスタイルの良い彼女がいるんだもんね。

ちょっとだけ、涙が滲んだ。


「もう、忘れていいよ。玲。私平気だから」


玲は答えてくれなかった。
ただ、唇を噛んで、やるせない顔でどこか遠くを見ていた。

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