好きな人は幼馴染み
溢れる涙を堪えながら……


「エイちゃん…ヒドイ……
なっちゃんと付き合ってるじゃない。
エイちゃんを好きな私に……
せめてきちんと……
お願いだからはっきりフって」



「…菜摘とは付き合ってないよ?」



「どうしてそんな嘘言うの!
なっちゃん告白したって言ってたよ?」



「…うん。」



「ほら!付き合ってるじゃん!
両想いなんだから」



「…?誰と誰が??」



この後に及んでまだ惚けるエイちゃん


もう!これ以上言ったら私も怒るよ!


なっちゃんにも失礼じゃない!


いくらエイちゃんが超イイ男のくせに
ちょっとばかし
無口で言葉がたりない人だからって!



「もう!エイちゃんのバカ!
そんなの、エイちゃんとなっちゃんに
決まってるでしょ?
なっちゃんに告白されて晴れて
恋人になったんでしょうが…」



「…え?俺、断ったけど…」


キョトンとした顔で
エイちゃんが言った。



「えーー!だって、抱き合ってキスしたんでしょ?」



「…それは、、まぁ、
キスは鈍感な俺のせいで
菜摘が勝手にしてきて
抱き合ったってのは
菜摘が最後に一度だけって言うから…
菜摘の事は
ガキの頃から親友と思ってたし……
友情の証として俺はやったつもりだし
菜摘もわかってるよ」


私にもわかるように
珍しくたくさんの言葉を使って
ゆっくりとした口調で話すエイちゃん。



「ええーー!!」


もう、私さっきから頭パンクしそう!


すると、エイちゃんはフッと笑うと
私の手を軽く握って引き寄せると



「…ちなみに、俺は亜子が好きだよ
亜子だけが好き。」



「えええー!!」



「赤くなったり青くなったり
亜子は本当かわいいな…」


と、言って私をギュッと抱き締めた。
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