好きな人は幼馴染み
ドキドキを隠すように
わざと明るく振舞って


「よしっ!つけたよ!!
見て見て!うん、似合ってる!!!」


バックから手鏡みを出して渡すと
両肩に手を置いてニッコリ笑って言うと


鏡越しに一瞬だけ表情を崩して
フッと笑うと


椅子を回転させて振り向いて、
私の手に鏡を手渡しながら



「…で、さっきなんで泣いてたの?」


「えっ!?またその話??」


「…だって、亜子はすぐにごまかす」


「…菜摘はごまかさないけど…」


ズキン


そうだよね


私はずるい。
なっちゃんはいつも真っ直ぐなのに
私はぶつかる事をいつも避ける。


いつでも正直でかわいいなっちゃん
に私はどうしたって敵わない


どうしたってエイちゃんの心の中には
入れないんだ。




「…へへへ(笑)
本当に映画を思い出しただけだよ?
あっ!私、もう帰らないと!
そうそう!明日はとびっきりの
誕生日になるよ!!
私の口からは言えないけど
明日のお楽しみだよッ!!
んじゃ、またね!
エイちゃんありがと〜!
エイちゃん……バイバイ」


私はエイちゃんが何か言い出す前に
部屋から逃げるように出た。



エイちゃん好きだよ。



エイちゃん今までありがと。


エイちゃん、なっちゃんと幸せになってね…

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