もう一度だけでも逢えるなら
 しずく第二公園の桜の樹は満開に咲き誇っている。

 どの桜の樹も薄ピンク色の花びらがぎっしり。

 風で散った薄ピンク色の花びらが少し地面に落ちている。



 まだ七時前。

 花見客の姿はどこにも見当たらない。

 今のところは我が家だけ。

 色鮮やかな桜並木の下にレジャーシートを広げた。

 風は弱いけど、捲れないように四つ角に大きな石ころを。

 四畳のレジャーシートに家族四人で座った。



 まなちゃんは早くもお寝んね。両目を閉じて、体を丸めて寝そべっている。

 かなでは落ち着かない様子ですぐに立ち上がった。

 薄ピンク色の桜の花びらに顔を近づけている。香りを嗅いでいるように見える。表情はとても明るい。

 枝から散った一枚の薄ピンク色の桜の花びらが、かなでのランドセルの上に落ちた。

 入学式に行く途中の新入生のよう。

 水樹はあぐらを掻いて座っている。

 とてもリラックスした様子。

 とても優しい眼差しで、桜の樹を見つめている。

 私は家族の様子に目をやりながら、お花見を楽しんだ。
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