もう一度だけでも逢えるなら
「紗優!」




 水樹は、まだいる。この世界に存在している。




 時間は……時間は……




 ぼんやりとだけど、見える。




 十一時……五十九分……五十一秒。




 あと、九秒しかない。




 私はすぐさま水樹の方に振り向いた。

 水樹までの距離は、約二メートル。

 ジーンズのポケットに両手を突っ込んでいる。

 初めて出会った日の時のように。

 表情は、明るく見える。
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