もう一度だけでも逢えるなら
 雨で湿った芝生の上に、レジャーシートを広げた。

 風で飛ばされないように、四つ角に大きな石ころを。

 よいしょ。よいしょ。よいしょ。暑い中、動き回っているのは私だけ。

 水樹さんは何も手伝ってくれない。ジーンズのポケットに手を入れて、突っ立っている。

 それでも私は笑顔。あくびは絶対にしない。愚痴や文句も絶対に言わない。

「さあ、どうぞ座ってください」

「それでは、座ります」

 水樹さんはレジャーシートに座った。正座ではなく、あぐらをかいている。今日は、リラックスしている様子。

 私は水樹さんの隣に座り、眠たそうな顔であくびをしているまなちゃんを膝に乗せた。

 はたから見れば、私たちはカップル。長年、付き合っているかのようなカップル。

 何もない原っぱに座っているだけだけど、私はものすごく嬉しい。
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