冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「それはもう。小さい頃はとても厳しく、少しでもいけないことをすると、よくお尻を叩かれました」

「それは俺と同じだ」


王太子なのに、お尻を叩かれたの?


「王妃さまにですか?」


そういえば、ここに来てから国王さまにも王妃さまにも会っていない。

それは来て早々やけどをして伏せっていたからなのかもしれないと思ったけれど……。


「母は随分昔に天に召された。国王はそのせいもあって、あまり人前には出たがらない」


私はそれを聞き、胸が締め付けられる思いがした。


「そうだったのですね。王太子さま、お寂しかったのでは?」

「いや、無我夢中でここまで来たからな。寂しいなんて感じている暇はなかった」


彼はそう言うけれど、寂しかったはずだ。

私も父の存在が近くにはなかったけれど、サノワでは母がいつも寄り添ってくれたし、アリアナのような友達もたくさんいた。
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