冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「そうですね。こんなに美しい細工は無理です。でも庶民は自分でも作りますわ。普段は節約して、たまにどうしても欲しいものにお金を使うのは、この上なくワクワクするんですよ」


おそらく彼にはそんな経験がないだろう。

私がそう言うと、彼は「それも面白そうだ」と無邪気な笑顔を向けてくれる。

まるで少年のようなその笑顔は、ここに来たばかりのときに彼が見せた眉をつり上げた険しい表情とはまるで違い、とても柔らかいものだった。


「リリアーヌの話は飽きない」

「そうですか? サノワでは普通のことです」


いや、庶民では、かもしれない。


「リリアーヌの母君はお強いお方だったのだな。王宮から離れ、そなたをここまで育てたのだから」


王宮で暮らしていなかった経緯をひと通り説明してあったからか、彼はそう口にした。
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