冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「聞かせて。なにをとってしまったの?」


もう一度できるだけ優しい声で問いかけると、男の子は顔を上げ、やっと口を開いた。


「パン」

「パン?」


パンを盗んだだけで、こんなに大ごとになっているの? 
シャルヴェさまがなにも聞かない冷たい人だったら、切られていたかもしれないのに?


「それだけ?」

「うん」


男の子がそう答えると、バスチューが口を挟んだ。


「シャルヴェさま。先ほどの兵の話では、この者は盗みに入った家で銀の食器を手にしていたと聞いております」

「あれは僕の家のものだ!」


すると今まで声を震わせていた男の子が、突然大きな声を上げた。


「どういう、ことだ?」


再び膝を折ったシャルヴェさまがそう問いただすと、男の子の顔がクシャッと歪み、ポロポロ涙が流れ出した。
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