冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「シャルヴェさま、すぐにでも出発できます」


そこへバスチューが戻ってきた。


「頼んだぞ。それじゃあ、元気で暮らせ」


やっとパンを飲みこんだ男の子にシャルヴェさまが声をかけると、彼は大きくうなずき「ありがとう」とつぶやいた。

そしてバスチューに連れられ、男の子は行ってしまった。


「リリアーヌ。また疲れさせてしまったな」

「とんでもございません」


シャルヴェさまは私のそばまでやってきて、さりげなく腰を抱く。


「改めてシャルヴェさまの偉大さがわかりました。そのようなお方のそばにいられて、私は……」


『幸せです』と言いたかったのに、言えなかった。

感極まってしまい、声が続かなかったのもある。
でももしかしたら、私のケガに責任を感じている彼にとっては迷惑なひと言かもしれないと躊躇したからだ。
< 164 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop