冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「バスチュー、エドガーとふたりでこの子を街まで連れていき、家族と共に村を出よ。あそこにまだ家が空いていたはずだ」


『あそこ』というのは孤児たちを集めたあの集落のことだろう。


「承知しました。すぐに用意してまいります」


シャルヴェさまの決断力と行動力には頭が下がる。

私はすぐに調理場に戻り、コールにだけは事情を話してパンをこっそり用意した。
そして部屋に戻り、男の子にひとつ持たせる。


「ほら、食べなさい。お母さんと妹の分もたくさんあるからね」

「うん!」


余程腹が減っていたのだろう。
男の子はシャルヴェさまの前だというのに、ガツガツ食べ始めた。


「王太子さま。本当にありがとうございます」


もう一度お礼を言うと、彼は小さくうなずく。


そして、「子供たちはユノヘスの宝だ。リリアーヌが礼を言うようなことではないぞ」と優しい表情を見せてくれる。
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