冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「本当に傷が浅くて、よかったですわ」


医者の手当てが終わると、コールがベッドの横にやってきて、涙をこぼす。


「心配かけて、ごめんなさい」

「いいんです。リリアーヌさまさえご無事なら」


コールはもうすっかり家族のように大切な存在になっていて、そのせいか、私のためにポロポロと涙を流してくれる。


「痛みますか?」

「大丈夫よ」


さっき薬草をつけられた傷が、じわじわと痛みを放っている。
でも、首の傷より心が痛んでいた。

私に背を向ける前のシャルヴェさまの苦しげな表情が頭から離れない。


「どうしてあのとき、シャルヴェさまが来てくれたのかしら……」


彼の部屋からは遠ざかったのに。


「はい。私が聞いたところによりますと、門兵のひとりが客人を伴って王宮に入ったまま戻ってこないと、別の門兵からバスチューに報告が入り、それで王太子さまのところに走ったそうで……」
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