冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「泣いて、いるのか?」

「申し訳ございません。シャルヴェさまがこれほどお辛い過去を背負われていたのだと、ちっとも知りませんでした」

「お前が泣かずともよい」


彼は振り向いて私の頬に手を伸ばし、涙を拭ってくれる。


「この傷に触れたのは、お前が初めてだ。気持ち悪かったであろう?」

「それならば、私の足の傷も、気持ち悪いとお思いですか?」


私の傷は、彼のそれとは比べ物にならないほど小さく、浅い。
それでも、白い肌に浮き上がるヤケドの跡は、赤黒く醜い。


「そんなわけがあるまい。お前の傷は、民の命と同じ重さがある」


彼はそう言うと、私の手を引き自分の膝に座らせ、ドレスの裾をまくり上げて傷に触れた。


「シャルヴェさまの傷も同じでございます」

「リリアーヌ……」


彼はそのまま私を抱きしめてくれた。
そして私は、彼の素肌に頬をつけ、目を閉じた。
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