冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
兄弟?


「シャルヴェさまにはご兄弟がいらっしゃったんですか?」

「あぁ、三つ離れた兄が。その火事で死んだ」


衝撃の事実にハッとして口を押えた。


「そして兄を助けようとした母も死んだ」

「そんな……」


そんなこと、少しも知らなかった。

箝口令が敷かれているのだろうか。
バスチューもコールも教えてくれなかった。


「そのときに、このおケガをなさったんですね」


私は無意識に、彼の背中の傷に触れていた。


「リリアーヌは怖くはないのか?」

「どうして怖いのです?」


そう言ったけれど、声は震えてしまった。
もちろん、怖いからではない。悲しいからだ。


この傷を負ったとき、彼はどんなに辛かっただろう。
どんなに痛かっただろう。
どんなに……。


そんなことを考えていると、瞳から涙がこぼれだしていく。
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