冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
それなのに、その声が届いていないのか、なんとなく血なまぐさい匂いが漂ってきて、いてもたってもいられなくなった。

私がなんとかする――。
だけど、この身なりが邪魔だ。

私はしばらく考えて、ヤニックが予備として馬車の中に置いておいたもう一本の剣をフワフワに膨らむスカート部分に刺し、ビリビリと破いた。


「これで動ける」


そして馬車のドアを一気に開け、外に駆け出す。

王太子さまの前にこの姿で行かなければならないことなんて、すっかり頭から飛んでいた。


「リリアーヌさま! 出てきてはいけません」


私に気づいたヤニックがすぐさまそう叫んだけれど、そんなことを聞いてはいられない。

激しく剣を交える護衛の兵は押され気味で、もうすでに息が上がっている。

それもそうだろう。
頑丈そうな鎧をまとった八人の兵を、四人で迎え撃っているのだから。
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