冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
でも、ひたすら剣術を磨く彼の姿を見て、“守るもの”でもあることに気がついた。


「いや、リリアーヌの言う通りだ。あんなもの、振り下ろさなくて済むのなら、そのほうがよい」


それを聞き、ハッとした。
『これからも、切るであろう』と言った彼だけれど、心から望んでそうしているわけではないのだ。


「昨日、お前のその首に傷をつけたのは、イヤールドの者だとわかった」

「それは……」


サノワに戦いを仕掛けてくる、あの国だ。


「お前がここに来るとき襲ったのも、イヤールドの兵だ」


あのひげ男たちのことだ。


「イヤールドをこのままにはできぬ」


シャルヴェさまの強い言葉に息を呑む。
それは、戦が始まるという宣言に聞こえた。


「シャルヴェさま……。あの……」

「お前の嫌いな血が流れる。だが、このままにはできぬ。また別の手でなにかを仕掛けてくるだろう。そのとき、我が国の誰かが傷つかないとは言い切れない」
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