冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
彼はそう言うと、少し口角を上げ、微笑む。


「ですが……」

「リリアーヌ。お前はサノワに帰り、子供たちを正しく育てよ。それが俺の願いだ。戦いの間の混乱に紛れてヤニックと一緒に帰るがよい。その間なら、イヤールドもお前に注意を払うほどの余力はないはずだ。もちろん、護衛はつける」


私の言葉を遮った彼はそう言うと、再びパンを口にした。


「このパンを食べられなくなるのは少し残念だ」


私は泣きそうだった。
彼の心の支えとなり生きていく覚悟をしたばかりなのに、あっさりと断られてしまった。


「どうした。食べぬのか?」

「……いえ」


私は彼に急かされパンを手に取ったものの、放心していた。

戦に出た彼がユノヘスに無事に帰ってくるという保証はどこにもない。
もしそばにいることが叶わなくても、彼には生きていてほしい。
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