冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「なるほど。かしこまりました。では私はご指示に従いますので、リリアーヌさまの護衛には別の兵をつかせます」


私の指示に賛成してくれたバスチューは、すぐに走り去った。

おそらく、このようなことはしたことがないのだろう。

シャルヴェさまの母と兄がなくなるという不幸な事件があってから、王宮は閉ざされてきた。
だから、王宮に人が溢れる姿をコールも見たことがないのだという。


でも、今はそんなことを言ってはいられない。

医者にも技量の差はある。
別の医者が診れば助かるということもあるかもしれない。

ひとりでも多くの命を救うには、負傷者を集めることに意味はあるはずだ。


「コール」


そして私は、次にコールを呼んだ。


「はい。ここに」


すぐに飛んできたコールは、私の顔見てホッとしたような笑みを見せる。
私が塞いでいたので、心配してくれていたに違いない。
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