冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「リリアーヌ。泣かずともよい」


シャルヴェにそう指摘され、慌てて頬を拭う。


「シャルヴェは寂しくないのですか?」


思わずそう尋ねてしまったのは、彼が清々しい顔をしていたからだ。


「寂しいさ。でもバスチューは、ユノヘスとイヤールドの未来のために旅立ったんだ。またすぐに会える」


彼はそう言うと、私の腰を抱き寄せる。


「そうですね」

「それに世継ぎを作れば、バスチューは飛んでくるぞ?」


シャルヴェはそう言うと大きな体を少し屈ませ、顔を近づけてきたけれど……。


「コホン」

「あ……」


唇が触れる寸前のところで咳払いに気づき振り向くと、そこにはひげじい、もとい、ランシャンの姿があった。


「シャルヴェさま。血気お盛んなのはよろしいのですが、決めなければならないことが山ほどございます。執務を優先してくださいませ」
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