冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
冷酷と言われる彼らしく、大きな体と鋭い視線に気圧されたものの、私はこの人と結ばれるためにここに来たのだ。
いちいちひるんではいられない。

それに、他国の兵に襲われるという思わぬ事態に遭遇したあとだからか、さほど怖いとも思わなかった。


私は小さく会釈をして、笑顔を作った。


「そなたが?」

「お会いできるのを楽しみにしておりました」


私がそう返すと、王太子さまは目を丸くして、今度はバスチューに視線を移した。


「バスチュー。お前はなぜ血を流している。それに、リリアーヌ姫のこの身なりはなんだ」

「申し訳ございません。途中、襲われました」

「なに!?」


ギュッと大きな手を握りしめた王太子さまは、大きな声を上げ表情を硬くする。

さらには、彼の少しうしろにいた白髭の初老の大きな男までもが鋭い視線をバスチューに向ける。

あの人は誰?
< 33 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop