冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私はまるで捕まってしまった敵国の捕虜のような気持ちを味わいながら、それでも前を歩く王太子さまの大きな背中を見て、必死に心を落ち着かせようとした。

大丈夫。私はこの人の妃になるの。


「リリアーヌ」

「はい」


王宮に一歩足を踏み入れると、ヤニックと別れてからひと言も口を開こうとはしなかった王太子さまが、振り向くことなく私の名を口にする。


「そなたは私の妃になるのだ。あまり無茶は困る」


やっぱりお優しいじゃない。
私はホッと胸を撫で下ろした。


「申し訳ございません。つい」

「『つい』とはなんだ。いったい、どんな暮らしをしてきたのだ。王族の姫ともなれば、戦の真ん中に立ち剣を振り回すことなどなかったはずだ」


私だってさすがに戦闘に加わったことなどない。
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