冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
もしかしてお姉さまが代わりに来なくてはならなくなるかもしれない。
いや、嘘をついたサノワ国を王太子さまがお許しにならないかも……。

そんなことを考えていると、ますます気分が悪くなる。


「リリアーヌさま、包帯をお取替えいたします」


コールにそう言われてことまでは覚えている。
けれど、やはり体がボロボロで限界だったのか、それからふと気を失った。



「んっ」


私は夢を見ていた。
必死に走って逃げているのに、誰かが追いかけてくるのだ。

怖い。助けて……。


『やめて。来ないで!』


そう叫んでいるのに、声が出ない。


「リリアーヌ、どうした?」


王太子さまの大きな声でやっと目覚めたものの、夢とうつつの境目がわからず、顔がゆがむ。

火事のときのダメージは、知らず知らずの間に心までに及んでいた。
いくらじゃじゃ馬と言われる私でも、命を失うかもしれないという恐怖は、心に闇を落としていた。
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