冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
王太子さまは、そのまま私が泣き止むまで待ってくれた。

彼の胸は、私の涙でベタベタになってしまったけれど、そんなことを気にする様子もない。
ただ大きな手で私の頬に伝う涙を拭ってくれた。


「喉は乾いていないか?」


喉はカラカラだった。
高熱があるのだから、汗で出ていってしまうのかもしれない。

私は彼の腕の中でうなずいた。


「水は飲むようにと言われている。今、用意させる」


王太子さまがベッドから降りようとすると、急に不安になってしまい、体が震えだした。

得もしれぬ恐怖のせいで自分自身をコントロールできなくなり、思わず彼の腕をギュッとつかんでしまう。


「どうした。怖いのか?」


あれほど冷酷で恐ろしいと聞かされていた王太子さまは、こんなに優しい。
でも、嘘をついてここにやって来た私が、彼に甘えるなんて許されない。
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