冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「そうだ。うまいぞ」


少しこぼれてしまったものの、たしかに喉には冷たい水の感覚があった。


「もう少し飲むからな」


そして王太子さまはそれを何度か繰り返す。


「今はこのくらいにしておこう。またあとでだ」


彼は素知らぬ顔でそう言ったけれど、私は緊張で頭が真っ白だった。

母にですらこんなことをされたことがないというのに。
ユノヘスではこれが当たり前なの?

バクバク音を立て続けている自分の胸にそっと手を置き、必死に落ち着こうとした。


「喉は足ほどひどくない。痛みさえ落ち着けば話せるし、食事も食べられる。だがそれまで会話もできず、なにかあっても誰も呼べない。昼間はコールが見てくれる。夜は俺が一緒にいよう」


王太子さまが!?

私は手を横に振り、『そんな必要はありません』と必死に訴えたものの、彼は「遠慮はいらぬ」と決めてしまった。
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