一輪の花を君に。
ーside美空ー


私は、息苦しさに目を覚ました。



何とか身体を起こし、携帯の電源をつける。



時刻はまだ4時半。



吸入しなきゃ…。



吸入をして、ようやく落ち着いた頃に急に喉が渇いてきた。



重い足取りで、キッチンへ向かう。




キッチンへ向かうと、1つの明かりがついていた。




誰か起きてるのかな?



「中森先生!?」



「美空?どうした?」




「先生こそ、何でここに?」




「今日から、ここから病院に通おうと思って。」





「え?」





「病院にもそれほど遠くないし、美空が自立するまで、ここを出るまで美空の様子を見ていきたいって思って。」





「でも、先生の家は?」




「親父がいるから、大丈夫。何も心配いらないよ。」




「どうして…。」




どうしてそこまでするのよ。




私なんかのために。




「そんなことより、発作起きた?」




「えっ?」




「呼吸が浅いから。」




先生には、どうしても隠せない。




隠させないって言った方が、正しいのかな。




「ちょっと、診察させて。」




「その前に…。お水飲んでいいですか?」





「いいよ。ゆっくり飲んで。」




コップに水を注ぎ、ゆっくり口に含む。




「大丈夫?苦しくない?」




「はい。」




「ちょっと、ソファーに座ろうか。」




先生に姫抱きにされてから、私はソファーに降ろされた。





「美空、ちょっと服を浮かせられる?」




「はい。」




「聴診するよ。」





静かな時間が流れる。




随分と長くないかな?




「あの、先生?」




「ん?どうした?」





「いや、長いなって。聴診。」





「あ、ごめんね。喘鳴があったからちょっとここで安静にして。」





「いえ、部屋に戻ります。」




「いいから。」




半ば、強引に先生にソファーに寝かされた。





規則正しいリズムで、先生は私のお腹を優しく叩く。





私は、気付いたら眠りについていた。
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