柏木達也の憂い

「達也くん、最近また根詰めているけど、どこか上手くいってない案件でもあるの?」

いつもの残業中のデスク。集中して図面に向き合っていると、後ろから声をかけられた。

あ、まずい。

これを見られちゃいけない。

とっさに図面を隠すように席を立って、近づいてきていた美智子さんに向き合った。

「いや、そういう訳でもなくって。自己満足、みたいな?」

ちょっとおどけたようにいっても、美智子さんはちょっと咎めるような顔をしている。

「私じゃ、力になれない?」

そう言いながら缶コーヒーを手渡してくれる。それを素直に受け取りながらも首を横に振って

「俺の腕の見せ所?」

と言っても笑ってくれない。

「なーんか、すっかり私なんか用なしって感じかな」

ちょっと困ったような、それでいて何か言いたいようなそんな表情。

最近たまに見る美智子さんの、この表情が気になってはいた。だけど、その美智子さんの不安を解消するためにも、今の俺にはやるべきことがある。

そう思ってた――――


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