甘い媚薬はPoison
「児玉くん……?」
声をかけたが、彼は余裕がないのか私をスルーしてトイレに駆け込む。
「……どうしたんだろう?」
独り言のようにポツリと呟くと、横にいた杏奈さんに突っ込まれた。
「お腹下したんじゃないの?」
「はは……まさか?私があげたお弁当が原因……?」
そんな言葉を呟きながら青ざめた。
児玉くん、ごめん。私のせいだ。
この場にいない彼に手を合わせて謝る。
児玉くんが席に戻ってきたのは二十分後。
それでもまだお腹の調子がおかしいのか、その後もトイレに行きげっそりした顔で席に戻る。
さすがに罪悪感を感じて、お使いのついでにドラッグストアに立ち寄り、下痢止めの薬と整腸剤を買って児玉くんに渡した。
「児玉くん、よかったらこれ飲んで」
「岸本さん、ありがとう」
児玉くんは身体が辛いだろうに私に笑って見せるが、その笑顔が痛々しい。
お礼なんて言わないで、児玉くん。
< 11 / 124 >

この作品をシェア

pagetop