甘い媚薬はPoison
杉山さんの話では日に四百通のメールに目を通して、雑誌やTVの取材にも応じ、毎日のスケジュールは分単位で休む間もないとか。
彼の頬に触れようと思ったが、途中まで手を伸ばして止めた。
触れて起こしたらどうするの?
起きた彼に何て声をかける?
彼と顔を合わせる勇気なんてない。
媚薬を使ったことを今は凄く後悔していた。
「蓮くん……ごめんね」
私は蓮くんの寝顔を見ながら小さな声で謝る。
もし彼が正気なら、私と寝るなんてことなかったはずだ。
こんな形で蓮くんを手に入れても虚しいだけなのに……。
私って……救いようのない馬鹿だ。
血が出るくらい唇を強く噛み締める。
とりあえずここを出たかった。
ひとりになって頭を冷やしたい。
蓮くんを起こさないように静かにベッドを出ると、床に落ちている下着と服を拾い集めてバスルームに行き、服を身に付ける。
心身ともにヘトヘトの状態。
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