甘い媚薬はPoison
私と同じ新入社員だけど、大学時代にもゲームソフトを作ってたらしくて、入社してまだ一年も経っていないのにすでにうちの立派な戦力。
「あっ、児玉くん、ぶつかってごめんね。そうだ。良かったら、このお弁当食べる?」
「え?良いの?」
児玉くんは目を大きく開けながら驚きの表情でじっと私を見つめている。
「うん。ゴミ箱行きになるよりはいいかと思って」
「わー、サンキュ」
にっこり笑顔でお弁当を受け取る児玉くん。
「お礼に今度……」
彼がなにか言いかけたけど、仕事のことが気になってすぐに自席に戻った。
まずは仕事をしっかりしよう。
蓮くんの力になるためにここに入ったんだもの。彼に「愛梨がいてよかった」って認めてもらうんだ。
全く相手にされないのはちょっと傷つくが、まあ昔からなので落ち込んではいられない。
気を取り直して仕事に取りかかろうとすると、私の後ろの席にいる色気ムンムンの美人に声をかけられた。
「また社長室追い出されたの?あんたも懲りないわねえ」
肩肘をつきながらスマホのゲームアプリを開いてるのは、私の三年先輩でゲームプロデューサーの岡村杏奈さん。杉山さんの後輩で、大手ゲーム会社にいたけど彼に口説かれてうちに来たらしい。
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