エリート上司の甘い誘惑


相手の顔を思い出せないのにキスの感触だけは濃厚に頭に残ってて、もしもこれが夢だったならどんだけ欲求不満なんだと思わざるを得ない。


鮮明すぎる、舌を絡めた時の心地良さとか、温もりとか。
激しく絡めるような勢いに任せたキスじゃない。


しっとりと、でも互いの呼吸は確かに、熱を帯びて煽情的で……それはまるで、身体を重ねたみたいな昂り。


思い出しただけで身体の奥がきゅんと鳴く。


「って、あほか! 思い出し欲情している場合じゃない!」


眉間を指でつまみながら、キス以外の何かを思い出そうと試みた。


「……誰かと会ったような、気はする」


だとしたら、ここまで送ってもらったのだろうか。

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