エリート上司の甘い誘惑


「こうすれば、見えない」



柱に私を追い立て、両脇に肘をつき私の頭を囲った。
前髪にキスをして、唇で髪を掻きわけ額に触れる。

上を向け、と半ば強制の、甘い空間がそこに出来上がる。
恐る恐る上向くと、やっぱり唇を重ねようと、瞼から順に降りていく。


いくら物陰とはいえ、人前での近すぎる距離に隆哉さんの身体を押し返そうとしたがびくともしない。



「隆哉さん……ほんとに、人が」

「今日はクリスマスイブだ。そんなカップルだらけだから安心しろ」

「嘘ですよ」


私が困った顔で即答しても、彼は穏やかに笑ってキスを仕掛けてくるから。
結局私は、観念して唇にそのキスを受け止めた。


触れあう唇が、濡れて離れては空気に晒され冷えてくる。
それをまた、温めあうように何度も。


永く続くキスに薄らと目を開けると、視界を遮る彼の向こうの空に、白く舞う雪を見つけた。


―――ホワイトクリスマスだ。
青空に舞った色とりどりのフラワーシャワーよりも、ずっと美しく見えて。
清らかに厳かに、祝福を受けた気がしてじわりと瞼が熱くなった。


END

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