エリート上司の甘い誘惑

「無理に作っても、気色悪いだけだ」



ぽん、と頭の上を大きな手が乗った感触がして、衝撃で視界が揺れる。
それでもまだ固まった身体は動かなくて、部長が離れていく気配を感じて漸く振り向いた。



「ぶ……部長?」



その時にはもう、部長は後ろ姿でデスクに戻っていく途中だった。
私は呆然とそれを見送りながら、頭の中では今のセリフがぐるぐるぐるぐるとリフレインしてて止まらない。


『女度、ないこともないと思うぞ』



時間差で、ボンっと頭が沸騰した。


な、な、な、何、今の、頭ぽんってされた!
私慰められたのかな!
女度、ちゃんとあるってこと?!


や、でも。
無理したら気色悪いとも言われた。
抑々、ないこともない、ってどういうこと、あるのないのどっち?


部長!
どっちですかああ!


コピー機が、がーがしょん、がーがしょん、と鳴り続ける。
その音が止まる頃まで、私の頭の中は混乱し続けたのだった。





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