エリート上司の甘い誘惑

ふ、とあのキスの記憶がよみがえりかけて、しかも相手が部長という妄想とドッキングして慌てて冷えたウーロン茶を飲み込んだ。
そんなの、まともに想像しちゃったら明日から仕事行けなくなってしまう。



「部長は酔った相手にキスするような人じゃないもん」

「アンタ、いったいどうしたいのよ。キスの相手を見つけて付き合いたいの? それともキスしたことを怒りたいの?」

「え……」



言い返す言葉を見失った。
呆れた声の望美の指摘に、自分の中の矛盾に気が付いたからだ。


優しく慰めてくれた(のだと思う)キスの人にもう一度会いたい。
だけどもしも部長が、と考えると激しく動揺するし部長がそんなことするわけない、とも思う。



「…………キスが、どういう意味だったのか知りたい」

「うん?」

「もしも望美が言うみたいに部長とか東屋くんとかじゃなくても、知ってる人だったとして、よ。無意味に雰囲気で流されたキスだったら、嫌だなって」


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