イケメン御曹司のとろける愛情
 翔吾さんが左手を差し出し、その大きな手のひらに私は右手を重ねた。二人並んでステージから離れるように歩き出す。背後からは、司会者が次にマジックショーを行うマジシャンを紹介する声が聞こえた。

 翔吾さんが私の耳に唇を寄せてささやく。

「思い出してもらえただけで嬉しいよ。キミはあのときから俺にとってずっと特別な人だったから」
「そんなふうに言ってもらえて……嬉しいです。私なんかの演奏で――」

 言いかけた私の唇に、翔吾さんが人差し指を当てる。

「ストップ」
「え?」

 私は驚いて足を止め、翔吾さんの指先が優しく唇をなぞって離れた。

「“なんか”じゃない。奏美さんの演奏“だから”こそ勇気をもらえたんだ。ほかの誰でもなく、奏美さんだからこそ、奏美さんの演奏だからこそ、今の俺がいる」

 そんなふう言われて嬉しくて胸が熱くなり、目が潤みそうになる。

「その翔吾さんの言葉が……これからの私にずっと勇気をくれます」

 感謝の気持ちを込めて翔吾さんを見つめたら、翔吾さんが頬を緩め、右手で口元を覆った。
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