イケメン御曹司のとろける愛情
 私はビニール袋を補充する手を止めて返事をした。雪絵さんが大きな笑顔になる。

「よかったわねぇ! これがきっかけでお仕事が増えるかもしれないわねぇ」

 そのとき、雪絵さんの隣に立っていた紗良ちゃんが会話に入ってくる。

「山本さん、ライブしたんですか?」
「そうなの。樋波明梨さんってジャズピアニストの代役だったんだけどね」

 私に続いて雪絵さんが言う。

「その樋波さんって方は有名なジャズピアニストなのよ! それに場所は五十四階のアンバー・トーンだったんだから。すごいわよねぇ」
「そうなんですか。すごいですねー」

 紗良ちゃんに言われて嬉しくなり、私は照れ笑いを浮かべる。

「ありがとう」
「いいわよね~。アンバー・トーンは主人と行ったことがあるけど、ホントにステキなバーよねぇ。奏美ちゃんの夢に大きく近づいたはずよー」

 雪絵さんが我が事のように嬉しそうな声で言ったが、大きく近づいた、と言えるかどうか。

 私は胸の前で小さく両手を振った。

「いえいえ、まだまだです」
「あ、私、ペットボトルの補充してきますね~」

 紗良ちゃんが思いついたように言って、事務室の中に入っていった。
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