フェアリーテイルを夢見てる
できるだけ早くその日が訪れるよう、私はただ祈るのみです。

もしくは、もしかしたら千一郎さんは自分にもしもの事があった場合、この部屋が孫である巧さんの物になるように今から準備しているかもしれませんが…。

それをこちらから確認するのは何だか不躾で不謹慎ですものね。

また、もしそうなったとしても、相続税は払わなくてはいけないのですから、やはり買い取りを前提として考えて、しっかりとお金を貯めておくに越した事はないと思います。

その場で見聞きしていた訳でもないのに、何故私がこんな風に巧さんや周りの方の過去の言動について詳しいのかというと、彼が事細かに話して聞かせてくれるからです。

日中はあまりそういった時間を作れませんが、夜、床に就いてから、隣のベッドで横たわる私に向けて、巧さんはまるで独り言のようにあれやこれや様々なお話をしてくれるのです。

私の方はただ無言で耳を傾けているだけなのですけどね。

それを子守唄代わりに、私はいつしか夢の世界へと旅立っているのでした。

巧さんの方が先に寝入ってしまう時もありますけども。

ぼそぼそと、とりとめのない話をする事で、自分自身を催眠状態に誘っているのかな、と思います。

誰かの語る声を聞きながら眠りに落ちて行くのって、とても心地よいものなのですよね。
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