フェアリーテイルを夢見てる
小池さんはちょっぴりからかうような口調で言葉を繋いでいました。


「そうなったらそうなったで別に良いよ」


それに対し巧さんは涼しい顔で答えます。


「それが僕の運命なんだろうから。どうでも良いけど、自分が婚約中だからってその浮かれ気分を周りに押し付けるなよな」

「いや、そんなつもりで言った訳ではないんだけど…」


小池さんはツンツンと逆立つくらい短い自分の頭髪を右手で撫でながら続けました。


「我ながら不思議でさ。お前ほどのスペックのイケメンがまだまだ結婚の気配がなくて、俺みたいにガサツなゴリラが先にゴールインできるなんて」


その言葉を聞いて私は『ん?』と思いました。

確かに小池さんは巧さんよりも更に背が大きく、ガッシリとした体つきで顔も彫りが深くてワイルドな感じですが、別にゴリラではないと思います。
れっきとした人間の男性です。
それに、性格はとても細やかで穏やかで紳士的ですし。
私はそんな小池さんが大好きです。

ただ…。


「そんな事より、その相手が僕の妹だっていう事実の方が驚きだよ。全く、いつの間に愛を育んでいたんだか」


巧さんは苦笑混じりにそう返しましたが、しかし、その表情が一瞬憂いを帯びたのを私は見逃しませんでした。


「悪いな。警察官なんて、ハードな仕事の代名詞みたいな職業に就いちまって。でも、郁美ちゃんの事は必ず幸せにするからさ」
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