フェアリーテイルを夢見てる
しかも奥様がやりくり上手な方でしたので、かなりの貯金が貯まっていたそうです。
奥様の治療費はほぼ保険で賄えたそうですし、退職金も手にしていましたからね。

なので、金銭的には何ら不安はなく、『まるっきり外部との接触がないのは心身共に良くないだろうし、何かボランティアや習い事でもしながら隠居生活に突入するか』と考えたそうです。

そんな時、久しぶりに家に遊びに来た小池さんに「今度新しくできる「B.C. square TOKYO」というビルで管理人を募集している」といった話をされました。

「もし興味がおありでしたら応募してみたらいかがですか?」と。

その募集は会社のホームページや求人情報誌等に載せられていたのですが、小池さんはそちらのルートから知ったのではなく、情報が解禁になった際、巧さんから世間話として聞かされていたのです。

「そのビルを管理する『B.C. building INC.』と、様々なテナントが入るそうなので、管理人となる人はあらゆる立場の方と円滑なコミュニケーションを取れる人が求められているようですよ。田中さんにピッタリじゃないですか」

小池さんはそんな風に続けたそうです。

しかしその時点では小池さんは、自分がそのビルを管理する会社の会長のひ孫、つまり巧さんと幼なじみである事はあえて伏せていましたので、当然それを知らない田中さんが面接時にその事をアピールできた訳はありません。
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