フェアリーテイルを夢見てる
すっかりコツが掴めたようで、今度は空振りせずにそれぞれ一発で成功しました。


「あ!ケイ子ちゃん待っ…」


管理室から出てきた田中さんが追い付く前に扉が閉まりました。

B4は一階上ですので、箱はすぐに止まります。


「きゃっ」

「え!?」

「うわっ」


扉が開くと同時に飛び出すと、外に居た女の人と男の人二人が驚きの声を上げました。

それはそうでしょう。

本来ならばこんな場所にいる筈のない私が、毛を振り乱し、必死の形相で、突然中から姿を現したのですから。

だけどその方達に詳しい説明をしている暇も術も私にはありません。

私は駐車場内を全力失踪し、巧さんの愛車が止まっている場所まで行きました。


「……あれ?」


やはり思った通りです。

巧さんの駐車スペースの隣に置かれた車の中から、ちょうど男性が降りて来た所でした。

巧さんのお父さんです。

彼と同じく細身で長身で、ロマンスグレーの渋いおじ様。

何度かあの部屋を訪ねて来てその都度顔を合わせているので、その姿形はきちんと認識しています。

また、以前巧さんが平日休みで外出する際に「隣に停まってるのは父の車なんだよ」と説明してくれていました。

巧さんは出勤しようとしていた時に倒れたのですから、一般的に今の時間帯は朝の通勤タイムな訳で、それならばお父さんもそろそろビルにたどり着く頃なのではないかと考えたのです。
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