フェアリーテイルを夢見てる
「末永さ~ん。聞こえますか~?」


その間田中さんは巧さんの耳元で、大きな声で話しかけます。


「もうすぐ救急車が来ますからね~。大丈夫ですからね~」

「巧さん頑張って!」


私も負けじと声を張り上げます。


「分かりやすい場所で待機しているように指示がありましたので、ビルの外に行って来ます。ここはお任せします」


通話を終えた後、お父さんはそう宣言し、エレベーターへと駆けて行きました。


「分かりました。お気をつけて」


田中さんの言葉に軽く右手を上げて応え、お父さんは箱に乗り込み、扉を閉めました。

その後私は田中さんと二人、ひたすら巧さんに向かって声をかけ続けました。

とてもとても果てしなく、長い時間に感じられましたが、実際にはきっと十数分後くらいに、お父さんに連れられて救急隊員さんが到着しました。

諸々の確認をした後、テキパキとした動きで巧さんをストレッチャーに乗せ、無事、彼は病院へと搬送されて行きました。

救急車に同乗したのはお父さんで、私はもちろん付いて行けませんでした。

私が付き添いなんかしたりしたら周りの人にとても驚かれてしまいますし、きっと白い目で見られてしまうことでしょう。


「じゃあケイ子ちゃんはひとまずお留守番をしていてね」


お父さんから私の事を任された田中さんは、そう言いながら私を玄関に降ろし、部屋の扉を閉めました。
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