フェアリーテイルを夢見てる
部屋に一人でいるのはすっかり慣れっこの私ですが、さすがに今日はとても落ち着かない気持ちで日中を過ごす事となりました。


「お待たせ。良い子にしてたかい?」


夕方になってから巧さんのお父さんとお母さんが部屋に現れました。


「巧は『盲腸』という病気だったんだよ。緊急手術を受けて、無事成功したよ」

「でも、しばらく入院しなければならないの。完全看護だから家族は帰されたけど…って、こんな事を言っても分からないかしらね?」

「いや。とても聡明な子だから、きっと理解していると思うよ」


「…そうよね」


お父さんの言葉に頷いてからお母さんは続けました。


「ケイ子ちゃんのおかげで手遅れにならないうちに巧を病院に運べたんですものね。本当にありがとう」


お母さんは私のほっぺたを両手で挟み、おでことおでこをくっつけながらそう囁きました。

お礼なんか言われてしまったという事と、巧さんとそっくりの、そして何だかとっても良い匂いがするお母さんに密着されて、私は大いに照れてしまい、もじもじしてしまいました。

巧さんはしばらく帰れないので、どうやらお二人は私をこの部屋から連れ出す為に訪れたようです。

私が生活するのに必要な身の回りの品をお父さんが、私自身をお母さんが手に持ち、部屋を後にしました。
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