クールな次期社長の甘い密約
うん、そうだ。麗美さんが社食で話してた代議士の紹介で縁故入社したっていうのは、小沢真代って人の事だったんだ。でも、事情が分かったのはいいけど、知らないところで自分が巻き込まれていたなんて……なんか複雑だな。
もしかしたら今頃、宮川先生は常務に自分の姪っ子を受付に異動させるよう頼んでいるかもしれない。だとしたら私はもう受付には居られない。
やっと仕事にも慣れ、森山先輩とも仲良くなれたのに、残念だな……
「森山先輩、私、他の部署に異動になるかもしれません。短い間でしたがお世話になりました」
少し気が早いけど、ほぼほぼ間違いないだろうと思い感謝の気持ちを込めて挨拶すると先輩は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で首を傾げる。
「何それ?」
「どうやら私が受付になったのは、何かの間違いだったようです」
「はぁ? どういう事? ちゃんと説明しなさいよ」
森山先輩が声を荒げた時、宮川先生が足早に戻って来てお付きの二人に声を掛ける。
「官邸に呼ばれた。帰るぞ」
慌てて立ち上がり頭を下げるとカウンターの前を横切って行く宮川先生が何か言いたげな顔で私をジッと見つめていた。
――その日の仕事終わり、私と森山先輩と麗美さんは以前、麗美さんと行った居酒屋の個室に居た。
あれから森山先輩に宮川先生との会話と麗美さんから聞いた話しをたら、緊急会議を開くから麗美さんを呼べと命令されたんだ。
麗美さんも興味津々で、自己紹介もそこそこに自分の考えを話し出す。