クールな次期社長の甘い密約
有難い事に常務室の役員受付は麗美さんだった。彼女の笑顔を見て少し気持ちが落ち着き、なんとか冷静に引継ぎを終える事が出来た。
宮川先生が麗美さんと常務の居る部屋に入るのを見届け、静かにドアを閉める。
はぁーっ……なんか凄く疲れた。
役員室が並ぶ広い廊下を重い足取りで歩きながらため息を付く。
でも、さっきから不思議に思っていたんだけど、あの宮川先生、初対面のはずなのに見た事ある様な気がする。どこかで会ったのかな? それに、小沢真代って人……そっちも全然思い出せない。
本当ならその小沢さんって人が受付になるはずだったんだ。それなのに、どうして私が受付になったんだろう?
キリキリ痛む胃を押さえ受付に戻ると森山先輩が待ち構えていて、早く座れとばかりに私の腕を引っ張る。そして、受付カウンター横の商談スペースに居る宮川先生のお付きの人達を気にしながら囁く様に言う。
「ねぇ、なんで宮川先生は大沢さんに案内しろって言ったの?」
「それより、あの宮川先生って誰なんですか?」
「アナタ、宮川先生を知らないの? あの人はね、国会議員で経済産業大臣や厚生大臣、防衛大臣を歴任して今は与党の幹事長やってるわ。たまにテレビにも出てるでしょ?」
「あっ! そう言えば……だから見た事ある顔だと思ったんだ……」
森山先輩の話しでは、宮川先生はウチの常務と高校の同級生で、プライベートはもちろん仕事の方でも深い付き合いがあるらしい。
えっ、ちょっと待って……これってもしかして……