クールな次期社長の甘い密約
「あぁ~だから専務、堂々と宣言したんだ~。でもこれは、もしかしたら……もしかするかもよ」
「もしかってなんですか?」
カツサンドを頬張りながら尋ねると森山先輩が「結婚よ!」なんて言うから、もう少しでカツサンドを吹き出すところだった。
いくらなんでもそれは話しが飛躍し過ぎだ。私と専務はまだ付き合い出して間もないし、やっとこさエッチ出来たって段階。結婚なんてまだまだだよ。
しかし森山先輩は、今まで専務と噂になった女性は何人も居たけど、あんな風に皆の前で宣言したのは初めてだからその可能性は大きいと譲らない。
「ねぇ、秘書課の谷本さん、アナタはどう思う?」
話しを振られた麗美さんも大きく頷き、秘書課でも今朝の一件は話題になっていたと目を輝かせる。
「あの専務がプライベートな女性関係を職場でカミングアウトするなんて信じられないって先輩達も驚いてた。茉耶ちん、このまま順調にいけば、本当に社長夫人になっちゃうかもよ~」
「私が……社長……夫人?」
全然ピンとこなくてポカンとしていると前屈みになった森山先輩が小声で言う。
「専務がめでたく社長に就任出来れば……の話しだけどね」
どうやら先輩は、まだ倉田さんが専務を陥れようとしているって思っているみたいだ。
前回の緊急会議の時は、それはないだろうって話し半分で聞いていたけど、倉田さんとあんな事があり、彼の陰の部分を知ってしまったら、それも有り得るんじゃないかと疑ってしまう。