クールな次期社長の甘い密約
今度は私が何も答えられず、倉田さんの顔を凝視する。すると彼がプッと吹き出し「冗談ですよ」って笑い出したんだ。
「すみません、ちょっと大沢さんをからかってみたくなって……」
私は真剣に聞いたのに、からかうなんて、酷い……
「もういいです。出てって下さい」
「大沢さん?」
「変な事聞いてすみませんでした。今の質問は忘れて下さい」
再び倉田さんに背を向けるとバカな事を聞いた自分が情けなくて涙が溢れてくる。
専務と結婚が決まった私が倉田さんの気持ちを確かめてどうするのよ。全く意味のない事なのに……なんで、あんな事聞いちゃったんだろう。
激しい後悔が怒りに変わり、頭からシャワーを浴びると熱いしぶきが零れ落ちた涙と混ざって滝の様に頬を伝う。
どうして倉田さんなんか好きになっちゃったんだろう……
そう思った時――……不意に背後から伸びてきた腕に体の自由を奪われた。
「そんなに怒らないで下さい。これでも自分の気持ちを抑えるのに必死なんですから……」
「えっ……」
耳元で囁かれる甘い声にゾクリとして、思わず呼吸が止まる。
「好きな女性が裸で目の前に居るのに、押し倒す事が出来ない苦しさを想像してみて下さい」
「あ……」
「私が理性を失ったら、アナタは責任を取ってくれるのですか?」
強く抱き締められた私の理性は、既に崩壊していた。
「それは……私のセリフです。私が理性を失った責任を……取って下さい」