クールな次期社長の甘い密約

――翌日、両家顔合わせの日……


場所は、都内の私達が結婚式を挙げる予定のホテル。


ホテルまで私と専務を送ってくれたのは、倉田さんだった。


倉田さんと会うのは彼に拒絶されたあの日以来。自分の中ではもう倉田さんの事は決着がついたと思っていたのに、顔を見てしまうとダメだ……倉田さんが愛しくて胸がキリキリ痛む。


「プライベートな事で運転手を休日出勤させるワケにはいかないからな。倉田に頼んだんだ」


それならタクシーにすれば良かったのにって思ったが、倉田さんを呼んだのには理由があったみたいで……


「木村の件では、倉田に色々世話になったからな。木村が会社を辞めて落ち着いたし、そろそろ倉田を俺の秘書に戻そうと思っているんだ」

「倉田さんを専務の秘書に戻す?」

「あぁ、今日は茉耶のご両親と俺の父親の初顔合わせの日だ。復帰するにはちょうどいい日だと思わないか?」


専務は勝手だ……そう思ったけど、倉田さんの後ろ姿を見たら何も言えなくて「そうですね……」って答えるしかなかった。


ホテルに到着後、倉田さんとは一階のラウンジで別れ、私と専務は顔合わせの場所になっている別館に向かう。その途中、前を歩いていた専務が何かを思い出した様に「あっ!」と声を上げ振り返った。


「そうそう、言い忘れていたが、昨日、茉耶のお父さんの口座に千三百万振り込んでおいた」

「えっ? 千……三百万って……どういう事ですか?」


専務は台風で被害を受けた私の実家の力になりたいと思い振り込んだと言ってるが、被害は三百万と聞いている。じゃあ、残りの一千万は、何?

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